ランクマッチを「作業」にしない。プレイング上達の思考法=法則化
どうも、木村(@kimu3_slime)です。
シャドウバースのランクマッチを作業にせず、プレイングを上達させるための方法について書いていきます。結論から言えば、プレイの法則化です。
グラマスには勝率6割なら500戦必要
STR(鋼鉄のリベリオン)環境に入り、早速グランドマスターになりました。
蝙蝠で8連勝しつつグラマスなった!
— OZ ✘ 木村すらいむ (@kimu3_slime_g) April 10, 2019
聖獅子、ミッドロイ、ミッドネク、蝙蝠などいろいろ使いつつ昇格。ロイと蝙蝠が安定感あってしかも強い。ネクロは強いけどブレが厳しくて難しい。 pic.twitter.com/8PXVNO5FkK
途中、ミッドレンジロイヤルで10連勝、11連勝、蝙蝠ヴァンプで8連勝などを達成しつつだったので、悪くないペースだったと思います。
最近のローテ環境のデッキには資産がかかります。そこで、グラマス到達は悪くない選択肢。到達で報酬10パック確定しておきつつ、累計BP報酬、ランキング報酬を得られます。
さてそんなグラマスには、10000MPがかかります。これが長い。勝ちで100MP、負けで-100MP、勝率6割と仮定すると、10戦で200MP増加です。このペースなら、グラマスには500戦が必要となります。1戦10分かかるとしたら、5000分=約80時間かかることになるでしょう(実際は、もう少し試合時間が短かったり、勝率良かったりするでしょうが)。ランキングトップ(覇者)を目指す人は日に5000MP以上を盛っていますが、それでも2日はかかるのです。
そうなると、ランクマッチはながら作業になりがちです。手なりでプレイして、そのうちMPが増えるのを待つ。実際、そういうプレイをしている自分に気づきました。しかしそもそも、作業ではカードゲームをプレイする楽しみがないし、プレイングが上達して勝率が上がることもない。BO3(RAGEやレート)を主眼にするならば、なおさらランクマッチを走る意味がない。実際、ランクマッチと競技プレイの矛盾を指摘するブログ記事もあるくらいです。
僕は競技プレイ(長期的な勝率の上昇)を指向していますが、それにあたりランクマッチは全くの無駄ではないと思っています。どうせ走るならば、ランクマッチの戦闘を作業にせず、そこから学んでいきたいものです。結果的に、勝率を上げることが最短のグラマスへの道になるわけですし。じゃあどうやって学ぶか。
勝つための思考法:メンタル面
まず精神面について。心がけが実際のプレイを作ります。
感覚でプレイしない
まず、感覚でのプレイをやめましょう。逆に言えば、理論や法則を作るつもりでプレイしていくことです。作業だと思って、自分のプレイをよくする積み上げをしなければ、いつまでもうまくなりません。
(もちろん、対面やボードの状況によって、感覚的な判断をせざるを得ないときもあります。感覚プレイでうまい人もいます。しかし、原則としては明らかに良いプレイを大部分で知っていて、そのうえで感覚を混ぜるわけです。感覚しかないのなら、ランクマッチはじゃんけんやサイコロ投げと変わりません。)
対面やボードを見ずに、自分のターンが来るたびにPP通りのカードを考えずに出すプレイを、「ソリティア」と僕は呼んでいます。機械的にプレイして気持ち良くなりたいなら、ソリティアをすればいいわけです。対人のカードゲームでは、そんなマシンのようなプレイでは上達しません。「ソリティア」と形容されるようなデッキだとしても、実際にはマリガン、リソースの切り方、環境のデッキなどによって、勝つためにはソリティアでないプレイが求められます。
実際には、ランクマッチのどの試合でも、毎ターン毎に細かい選択肢が生まれていて、その選択肢の取り方によって勝率が変わるわけです。レートほど対戦相手のレベルは高くないかもしれませんが、それでも常に選択肢を良く選び続ける問題を与え続けられているわけですから、それを活用しましょう。
プレイを法則化する
ランクマッチという「問題」から、何を学べば良いか。それはプレイングの「法則」です。
受験勉強の攻略と同じです。問題を解いて答えを見る、その繰り返しだけでは正解率は上がりません。問題の解き方のパターン、規則を考えながら解くことで、将来出会う問題の正答率を高めることができます。
マスターランクの方なら誰でも知っているでしょうが、例えば「先ドロー」という法則があります。ドローできるカードとそうでないカードの両方をプレイするときに、先にドローしてから残りのカードをプレイすること。先ドローすれば選択肢が多い中でプレイできますが、後ドローすると後から引いてきたカードの方が良かった(つまり最善の選択肢を取れたのに取れなかった)、ということになります。しかし0コストの運命の導きがターン終わりにあるときは、次のターンまでキープしておく、という規則もありますよね。これは次のターンの1ドローしたカードにスペルブーストを載せられるメリットがあるわけです。
このような法則化がベターなプレイを生み出すのは明らかです。しかし法則化のメリットは、良い選択肢をもたらすことだけでなく、プレイングを速くできることです。「この状況は先ドローだ」と知っていれば取るべきプレイは明快で、それを知らない人に比べプレイが速くなります。
逆に言えば、選択肢に迷ってプレイが遅い部分は、まだ法則化が足りていないと言えます。ランクマッチのそのような場面こそ、時間をかけて考えるべき場面です。頭の中でシミュレーションを行い、どちらの選択肢が良いのか検討して実行し、結果を見て仮説の良し悪しを判断する。明らかに良い選択肢を見つける法則ができあがるまで、考え抜きましょう。それが結果として長期的な勝ち、スムーズなランクマッチにつながります。
法則化のメリットは、良い選択肢を選び、プレイ速度を速めるだけにとどまりません。
もしプレイの法則を列挙しつくせたとしたら、大半の局面でその法則にのっとるだけで良い手が選べるので、プレイが速く、かつ良い結果をもたらす選択肢が取れます。手なりでプレイすることとは違い、予め良いと判断できた選択肢を自動的に取ること。 カードゲームは作業ゲーではなく、法則発見ゲーなのです(持論)。
カードゲームは、(短期的な)思考速度のゲームですらないと思います。将棋でも、大局観や形勢判断の本が多く書かれているように。多くの試合から予め学び考えておくことで、重要なシーンで落ち着いてより良い選択肢を検討するための時間リソースが与えられます。経験から学んだ量が少なければ毎試合で場当たりの判断が求められますが、蓄積があれば重要な分岐にのみ時間をかけることができるわけです。
試合の結果はプレイする前の練習に大きく左右されるのは、スポーツにおいては当たり前でしょう。運の要素があるカードゲームにおいても(むしろだからこそ)、試合を始める前のゲームの理解が大事です。
つまり法則化とは、事前思考です(一般に知識と呼ばれるもの)。事前思考が足りなければ、問題(=試合でのプレイング)は複雑化し、めんどくささやパニックを招き、失敗率を上げます。法則化は事前思考によって、各盤面での本質的な問題の明確化をして、思考のリソース・アドバンテージを与えてくれます。
カードゲームには、テンポ、ハンド、ライフ、構築、情報など様々なアドバンテージがありますが、「良い選択肢をすぐさまに見つけられる」というメタ・アドバンテージを得ておきたいものですね。
どうやって法則を見つけ、積み重ねるか
選択肢を検討=シミュレーションする
プレイを法則化するには、各試合で生じた選択肢を検討し、理由をつけて選択していくことです。その理由の積み重ねが法則となります。
シャドバのレート上位者やプロ選手のプレイを配信で見ていると、必ず選択肢の検討に時間をかけています。前のターンにプレイがほぼ確定していたとしても、トップの1枚を見て一応必ず検討します。
上位プレイヤーのみに広く見られる検討のひとつは、「進化置き」です。一般のプレイヤーは進化をトレードや進化時効果のためのみに使うわけですが、進化置きは相手の有利な動きを取らせないために先んじて行われます。相手の次のターンの予測、通ったときと通らなかったときのリスク計算が求められます。難しいですが選択肢ではあり、例えばこうした選択がうまくできるかどうかによって勝率が変わるわけです。
検討するとは、具体的にはシミュレーションを行うことです。「選択肢Aを取ると、おそらく相手は~してきて、次のターン自分は…」という未来予測をそれぞれの選択肢に対して行います。配信であればこうした検討のレベルから、そのプレイヤーの強さの理由が感じ取れるわけです。
検討の結果を言語化する
検討して見つかった結果を法則として残すためには、言語化が必要です。言葉にすることで頭に定着し、後からスムーズに適応できるようになります。
検討を口に出しながら配信するのも良いでしょう(配信者は自然にこれをやっている)。僕は文章にして言語化しています。
どのように法則を言語化するかは、人それぞれ自由だと思います。僕がグラマスまでのランクマッチを通して書いていたものの一部を以下に載せてみるので、参考になれば。(自分用メモに近いので読みにくいかも)
聖獅子
- マリガン
- 先後共通:結晶、神殿、紡ぎ手、救済、スイング(先行の優先度低い)
- 先行:神殿セットで2コス。(礼賛?)
- 後攻:聖獣、対面によって法典、レインディア(?)
- 結晶の総数によってゲームが決まるので、強気に探す。ただし序盤から盤面を取らなければ早めのデッキに押される。
- ゲームメイク
- 1-4T
- 2法典するか否か:アグロorそれ以外?
- 5-7T
- プランが分岐する。
- 神殿があり、聖獅子が4以上出せてカウントを増やせるパターン。
- 非聖獅子、テンポを維持するための動きで聖獅子は3以下、ヘクターで余裕を取り戻してからカウント稼ぎ。
- 7-10T
- 相手のパワーターンを警戒しつつ、盤面orカウント稼ぎへ。ここからは聖獅子の枚数のゲーム。
- プレイングチップ
- 神殿2枚置きは終盤まではしない。
- 終盤、ハンドが多く盤面の除去力を上げるためにだけ使う。神殿のバリューはPP回復をしてテンポを上げることであり、それによってカウントが特別進むわけではない(他の結晶カードか、エンハが必要)。2枚置くと、アミュレットとヘクターも4ぬ。つまり、アミュもヘクターも頼らずにフィニッシュできるなら2枚置きすればいい。
- テンポと獅子カード(特に神殿)のプレイタイミング
- 非獅子(礼賛ヘクターなど)はコストのごまかしができないので、どうせ使うなら早期に吐きたい。一方で、ハンドの結晶を適度にカウントに変えなければ、終盤バリューを巻き返せない。特に、5PP以降はエンハの都合上カウントを稼ぎにくくなる。
- テンポ通りに動くと、ヘクター頂点のミッドレンジデッキになるが、その動きは特別弱いわけではない(だ無理にドローや神殿して弱くなる可能性はある。素結晶は打ち得だが。)。その間に、聖獅子というテンポかつフィニッシャーを入れていき、後半のパワーを上げている。
- つまり、聖獅子カードは、テンポになるタイミングで吐いていくべきであり、そうでないタイミングには無理しない。ヘクターはパワーなので6に横並べを作っておくとか。テンポを失わないときに神殿を置ければ、ミッドレンジの動きをしつつずるできる。
- レジェファイの使い方
- テンポ:3T以降、アミュと合わせて22突進として使う。
- 進化除去の強要(実質守護):4T以降、スペルをあわせて必殺として置く。
- 大型の処理(破壊スペル):5T以降、アミュスペルと合わせて。
- 打点:テンポとして出して残ったときに、進化2回攻撃させる。ヘクターや守護裏と合わせると強い。
- カウント不足で負けないために
- 無理にハンドを吐いて圧をかけていくと、6Tあたりから息切れしていく。ハンドの様子を見つつ、エンハ結晶のタイミングを伺って稼いでいくべき。
- 結晶の切り方が大事。ハンドから結晶をすべて失うとどうやってもカウントが進まないし、リソース回復もできない。
- 礼賛やコレットはマリガンキープすべきなのか?
- 2Tの222、3-4Tの礼賛はテンポムーブになる。
- 神殿とはセットキープして良い。2神殿から3T22の動きが確定するため(神殿のロスは確定で取り返すべき)。
- 神殿が見えていないときは、基本返す。礼賛は先行のみリソースかつテンポ札なのでキープしてよい?→ダメ。4のカードであり、2として出すのはテンポロス。探すべきはテンポかつ結晶カードである結晶や紡ぎ手であり、返したときに2としても使えるポジで良い。
- 救済の聖獅子の0コスの使い方
- ハンドや場に神殿がないときは即打ちで良い。なぜなら、それがテンポを取れるから。
- 6T以降、レジェファイとくっつけられる場面では出す順番に気をつける。
- 神殿があるときは、0で抱えることもある。しかしそれは弱いため、進化ターンをずらして、例えば5Tに402と動けば強い。
- 先に打つのは、ヘクターか結晶か?
- サタン(強いシステムフォロワー)にどうやって勝つか?
- まず早期にデッキタイプを見抜こうとする姿勢が必要
- 9PPのターンには起動し、起動されたら基本的に負けであるという認識をしておく(無理にでも勝つ状況にしておかなければならない)。
- 起動しても勝てるのは、金獅子完成で、相手のHPが12以下のとき(つまり逆リーサルをかけてるとき)。
- 後攻でランプサタンされると、押し切りが足りずきつすぎるんだが?
- 先行は勝ちプランが明確。フォロワーをテンポよく出していき、相手のテンポロスを回収させなければ良い。10以下まで削れていればどうにかなる。サタンの返しのターンは1ドローのみだからトップが弱ければ押し付けられる。
- ロイヤルなどアグロプランにどうやって勝つか?
- アグロプラン側は、リソースが切れやすい。早期から無視できないボードを作られ、ボードにつきあわされるのが一番つらい(ロイだとプラン変更できるが)。→カウント稼げず4にました
- できればランプさせない。つまり、進化ターンを通じて処理を強要させつづける。もしかしたらランプ札がはけずに?←いや持ってたらいけるやろ
- リーシェナメイシアにどうやって勝つか?
聖獅子なので、神殿の置き方や結晶カウントの稼ぎ方に関するものが多いです。これらは頻繁に検討し、かつフィニッシュ手段(勝ちの確定)に関わる重要な選択肢ですね。よく出会い、簡単に理由付けできる状況から法則化していくのが良いでしょう。聖獅子については書いていませんが、構築・カード評価も言語化していくとベターです。
上の言語化には、まだ未完成の部分があります。マリガンも「?」がついているように、プレイしながら書き換えていく途中です。とりあえず書いて見たものの、自信のない記述もあります。「学問に王道なし」というように、100%のプレイに向かうには紆余曲折が当然必要で、最初から答えにたどり着いていると思わず都度改めていくことが求められます。
一方で、 例えば「神殿2枚置きはほぼあり得ない」など、自信を持って言える簡単な法則も見つかっています。ネクロであれば、アーカス後のPP毎の打点・リーサルプランを書き出しておくのも良いでしょう。こういうものをランクマッチの中から見つけていくのが大事です。
「そんなことも?」という当たり前のレベルだとしても、少しでも迷いがあるなら理由付けして法則化しておくことに価値があると思います。具体的で小さな検討の積み重ねが、昨日の自分よりも着実に高い場所に導いてくれるでしょう。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。